My Choice of Shoes is Ill

出版業界に長く勤めていながら、電子書籍を活用しはじめたのは業界を離れた後だった。 世の中には死ぬまでに読みきれないほどの本がまだまだ溢れていて、やっぱり全部リアル書籍の形態で購入していたらね、部屋がいくらあっても足りないよね、数年置きに選別…

Visiting Hours

Facebookに、高校の同期生が急死したという知らせが届いた。 こういうメッセージが連絡網的に届くということは、私が何か高校の同期のコミュニティに参加していたんだろうか、と、疑問に思うくらい、Facebookはもう長いこと活用していなくて、ただアカウント…

How Far We Have Come

夜の浅草に散歩に出たら、浅草寺でほおずき市が催されていた。 暗がりのなか橙色に灯る提灯、走り抜ける子供たち、風鈴の音、行き交う浴衣姿の少女たち。 「あの小説、『夜市』みたいだね」と言われる。正に同じことを思っていて、みぞおちがきゅっとした。 …

起きると思うことは絶対に起きない

マイク・ミルズ監督『カモン カモン』を観た。 www.youtube.com 家族の事情から数日間を一緒に過ごすことになった伯父と甥の、プチ・ロードムービー的な物語。 全編白黒なのにとても温かい映像、こんなに美しいアメリカの街々は初めて観た。 人は人との関係…

仕方がないわ、生きていかなければ

『ドライブ・マイ・カー』を観にいった。 1時間の筋トレの後に急いで映画館にいったので、179分の長尺、寝てしまうかなと思ったけれど、寝なかった。 ドライブ・マイ・カー インターナショナル版 西島秀俊 Amazon 喪失と後悔と再生の物語。 こういう物語に遭…

秋の気配

TBS『マツコの知らない世界』で、KREVAが文房具について、BRAHMANのRONZIが朝ラーメンについて語っているのを観た。 20代の頃ににヒップホップやハードロックのバンドで大変にやんちゃだったり尖っていたりしていて、MCすら挟まない硬派なライブをやっていた…

セミがアイスコーヒーを飲んでる

『セミがアイスコーヒーを飲んでる/熱いフライパンみたいな道で』 日照りを感じはじめる季節に決まって思い出す曲。 歌詞のなかでは、このフレーズの前は春で、このあとは秋になるから、曲調自体は夏っぽくはないのだけれど、この歌詞が秀逸すぎて、もう、…

流行りのものが似合わない。

Tevaなるブランドが流行りはじめてから、ずっと履いてみたかったスポーツサンダル。でも仕事はスーツだから、履く日がとても限られるので無駄な買い物ではないかと、泣く泣く諦めていたのだけれど、昨年から在宅勤務になりあっという間に毎日の服装が出版社…

悲しみが癒えるまで

数日前の雨の日の朝に、母がマンションの玄関で滑ってよろめき、鉄の扉に頭を強打した。右の側頭部をぶつけたと言い張るのになぜか額に青痣が浮かんでいて、大丈夫だと言い張るのを説得して、脳神経外科に送り込んだ。 父が亡くなった後、そう遠くない日に母…

疾走する愛みたいに

電車内で向かいに座った女の子の、たたずまいがとても素敵だった。 真っ黒な潔いショートカットに、キリっとした眼差し。深い赤のリップ以外はアクセサリーもネイルもしていない。こなれたトレンチコートにブラウンのホースビットローファーを素足に履いて、…

外国へ行きたいか

忘れもしない2011年3月、私はそれまで数年に渡って期限切れのままになっていたパスポートを再度取得した。 時は東日本大震災の直後、このまま日本から出られなくなるのではという漠然とした恐れと閉塞感に突き動かされ、震災から10日も経たないうちに新宿の…

さよならの向こう側

生まれて初めて胃カメラを飲み、生まれて初めて静脈麻酔を打った。 「麻酔が効きはじめたらカメラいれますね」という医師の言葉を聞いて後、看護師に両脇を抱えられて麻酔をさますための椅子に座らされるまで、まったく記憶がない。 麻酔が効くときというの…

すっきりすることがない。

人の多い街中をなるべく避けて、住宅街にあるメキシコ料理店で、バスでゆらゆらと向かって落ち合った。料理の評判はまずまずながら、店主が無愛想で感じが悪い、という口コミがほとんどだったので、少し身構えて席に着いたけれど、美味しい料理や店内のかわ…

強くありたいと思ったわけではない

「君の態度やユーモアのセンスは、前の恋人を思い出させる。時々似てるって思う」とHに言われる。「それって喜んでいいとこ?」「もちろんだよ!」嬉しいようにも思うけれど、そうでもない気もする。Hは男性でゲイ。つまりは前の恋人は男性である。京都にい…

仮住まいの日々

コロナに関する言説を日々たくさん読む。名も知らぬ人のTwitterのつぶやきから新聞記事まで。そのなかでもっとも心にしっくりきたのが数日前の斎藤環先生のnote。 note.com わたしは頭が足りないので5割くらいしか理解できていないかもしれないのだけれど、…

ありのままの

まつ毛サロンに行かれなくなって3ヶ月。数年ぶりに自分の地まつ毛と向き合って、思い出した。なぜまつ毛パーマをはじめたかって、とってもまっすぐだったからだ。寸分の巻きもなくまっすぐと、斜め下方に向かって伸びている。この垂直ぶりが、ずっとかわいげ…

遠くに在りて

画面越しに赤が似合うと言われたので、調子に乗って赤いワンピースをゾゾタウンでポチる。しかし、特にこれを着て会う予定はない。ただいろいろ想像するのは楽しい。依頼されたあるオンラインセミナーを実施するため朝10時半からスタンバイしていたが、5分前…

居酒屋が恋しい

15分のYouTube筋トレの後に、2キロの外ラン。マスクをつけてのランニングは、気温が上がってくると苦しい。 Netflixで『ダイナスティ』を2話ほど観る。この富豪一族の物語を惰性で観てしまっているけれど、出てくる女たちはなべてビッチで観ていて気持ちはよ…

愛するものと共に生きる

今日の『ザ・ノンフィクション』は、獣医師の太田快作先生の日々を追いかけていた。1LDKのお住まいで11匹の猫と愛犬と生活する様はなかなか変わっていて、人間と家庭生活を共にするにはハードルが高そうだけど、さすが獣医師の先生、限られた居住空間の多頭…

食べ物のことばかりを考える

ゆとり世代の部下が、目を離すとサービス残業に明け暮れることが、目下の悩みです。残業代は100%申請通りに払われるし、残業時間が20時間を超える社員すら片手に数えるほどしかいない平和な会社にいながら、なぜサービス残業なんてするのかしら。サービス残…

素爪は久しぶり

夕べ深夜2時前に地震があって怖かったので、朝起きて防災グッズの見直しをした。とりあえずリュックが埃をかぶっている。水も乾パンも消費期限は2021年だった。筆記用具とタオルを追加する。 地震で少し目が冴えてしまったので、深夜から明け方にかけてHDDに…

曜日の感覚がなくなるので

史上最強に無為なゴールデンウィークが明日で終わる。こんな休日には必ず、 何もできずに/今日もまた/可哀想ね/終わってしまった ACOの『悦びに咲く花』という曲のワンフレーズが頭のなかでぐるぐる廻る。もう20年廻り続けてる。と思うと時の流れが空恐ろ…

旅は続く

初めて訪れた真夏の祇園祭の賑わいをひとり抜けて、冷房の効いたお店のカウンターでキンと冷えた生ビールを飲みながら、スパイスカレーを食べた。その時に店内のBGMで流れてきた曲にハッとした。 フィッシュマンズの「いかれたbaby」。 何年ぶりに聴いただろ…

Alone Again, Naturally

思い返せば、「ここではないどこかへ」と思わない人生を送ってきた。 自分で確固たる意志をもたずとも、わたしはいつも「ここからどこかへ」移動してきたからだ。物理的に、精神的に。 幾度もの引っ越し、複数回の転職、世界各国への出張、何人もの人との別…

すべて世は事もなし

時は春、日は朝(あした)、朝は七時、片岡に露みちて、揚雲雀(あげひばり)なのりいで、蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。 ロバート・ブラウニング・作、上田敏・訳『春の朝』 The year's at the spring And day's …

その心ごと、生きていく。

ケネス・ロナーガン監督『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を観る。と言っても観たのは3週間も前。なかなか言葉に起こせない、けれど残しておきたい、そんな感情をもたらす作品だった。 生きていると、人は大なり小なり、生涯取り返しのつかないことをして…

狂った恋が咲くのは4月

開花が遅くて寒さが長引き、今年は桜の季節が遅くて長かった。 だからか歯車が少し狂っている、色々なことが慌ただしい。

本を読んでいない。

昨年、遂に本の仕事から離れた。 何度職場を変わっても15年以上続けてきた仕事だから、それなりの信念ややりがいを持ってやってきたつもりだった、でも業界を離れるに当たって、思っていたより身を切るような思いはしなかった。 新しい仕事は知識も経験もな…

日本警察史上、最大の不祥事

白石和彌監督『日本で一番悪い奴ら』を観る。 出先で、ふいに「時間あるし何か映画でも観ようか~」と思いついて、「そういえば予告編で観た中村獅童のヤクザぶりがハマってたな~実際の事件を基にしているのも興味深い、これにしようか」という軽い気持ちで…

あいつを愛したら、星になるだけ

先月のはじめにニューヨークに行っていた。 ヨーロッパ圏とアジア圏には縁があるながら、アメリカ大陸は実に33年ぶり。 そして完全プライベートで海外へ行くのは、4年半ぶり。 感想としては、「人種のるつぼ」を実感、決して白人の街ではない。外国人である…