強くありたいと思ったわけではない

「君の態度やユーモアのセンスは、前の恋人を思い出させる。時々似てるって思う」とHに言われる。「それって喜んでいいとこ?」「もちろんだよ!」嬉しいようにも思うけれど、そうでもない気もする。Hは男性でゲイ。つまりは前の恋人は男性である。京都にいるという、Hの私に似た元カレのことを、しばし考える。

2つ前の会社の人たちと、オンライン飲み会。1対1で会うほど親しい人もいないけれど、数年おきにそれぞれ近況を伝え合う間柄だ。いつの間にか出会ってから10年が経っている。この最中の出来事やそれぞれの気持ちを、少しずつ話す。瞬時にタイポを見つけ出す校正力はたぶんあの会社で強化された技で、もう離れてしまった業界だけれど、今でも役に立っている。

通勤定期の払い戻しのため、駅の窓口に並ぶこと1時間半。ビニールに囲われた向こう側の係の方、何時間も何人もさばき続けてさぞかしお疲れだろうに、記入用紙を前に「ここよし、よし、よし、全部よし」と指差し確認、しごく丁寧な対応に頭が下がる。心からの「ありがとうございます、おつかれさまです」が口から出た。

今の仕事では随一の、大変な1週間だった。明日からも痺れるような1週間だろう。