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起きてしまったことは仕方のないことだ。それでもわたしは生きているのだから前を向いて歩かなくてはならない。
わかっている、頭ではわかっているのだ。
だけど、新緑に見惚れたり、テレビを観て笑ったり、友人とたわいもない話をしたりするたびに、胸に重いものがずしりとのしかかる。息苦しくて、立ちすくむ。
彼はわたしの最愛の人であったわけではないし、後を追おうとも思わない。
しかし10年もあたり前に、わたしの人生の一部であった。なのに二度ととり戻せない。代わるものものない。
無駄な問いであるし答えはわかっているのに、何もしてあげられることはなかったのか?とどうしても、どうしても考えてしまうのだ。
どうしたらいいのか、わからない。