日記

Alone Again, Naturally

思い返せば、「ここではないどこかへ」と思わない人生を送ってきた。 自分で確固たる意志をもたずとも、わたしはいつも「ここからどこかへ」移動してきたからだ。物理的に、精神的に。 幾度もの引っ越し、複数回の転職、世界各国への出張、何人もの人との別…

すべて世は事もなし

時は春、日は朝(あした)、朝は七時、片岡に露みちて、揚雲雀(あげひばり)なのりいで、蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。 ロバート・ブラウニング・作、上田敏・訳『春の朝』 The year's at the spring And day's …

狂った恋が咲くのは4月

開花が遅くて寒さが長引き、今年は桜の季節が遅くて長かった。 だからか歯車が少し狂っている、色々なことが慌ただしい。

本を読んでいない。

昨年、遂に本の仕事から離れた。 何度職場を変わっても15年以上続けてきた仕事だから、それなりの信念ややりがいを持ってやってきたつもりだった、でも業界を離れるに当たって、思っていたより身を切るような思いはしなかった。 新しい仕事は知識も経験もな…

あいつを愛したら、星になるだけ

先月のはじめにニューヨークに行っていた。 ヨーロッパ圏とアジア圏には縁があるながら、アメリカ大陸は実に33年ぶり。 そして完全プライベートで海外へ行くのは、4年半ぶり。 感想としては、「人種のるつぼ」を実感、決して白人の街ではない。外国人である…

今日だけは神様のことみんな信じてる

2015年最後に観た映画は橋口亮輔監督の『恋人たち』。 独りで映画を観ることはめっきり減ってしまったけれど、特に誘う人も浮かばないし誘われもしないのに自分はすごく観たいとか、今この時に観たいとか、周期的にそんな映画が巡ってきて、独りで映画館へ足…

あと100日。

おおはた雄一の「おだやかな暮らし」という曲をはじめて聞いたとき、Radioheadの「No Surprises」を思い起こした。以来、どちらの曲を聴いても、もうひとつの曲のイメージがオーバーラップする。 www.youtube.com www.youtube.com わたしは音楽理論には明る…

Be Yourself No Matter What They Say

仕事でシンガポールに行ってきた。 シンガポールの取引先のオフィスでミーティングをしていると、社員の一人がおもむろに立ち上がり、部屋の角に絨毯を敷いてその上にひざまずき、祈りはじめた。 その取引先の社長と社員がイスラム系だということを、わたし…

机の上にひっくり返した、かたいイス

仕事関係の方のイベントで、いくつかのバンドのライブを観る機会があった。 大バコではない小さなライブハウスでのライブ。いわゆる「メジャー」ではないバンドとの出会い。 それ自体がとても久しぶりで、少しノスタルジックな気持ちになって、少し気持ちが…

僕が一番欲しかったもの

『TV Bros』のページレイアウトが斬新すぎて度胆抜かれました。 マッキーの歌はずっと好きだ。人の傷みをとても知っている人だと思う。

仙人の欠員

間もなく会社を辞める人を誘って、いっしょにお昼ごはんを食べた。 夜に飲みに行ったことはあったけれど、思えば明るいうちにご飯をいっしょに食べるのは初めてだ。なんだか変な感じでもあったけど、話し出すと、とたんに飲み屋みたい。 人の悪口を言わない…

水の中のナイフ

お誕生日はどこでディナーしたい?と聞いたところ、水槽のあるお店がいい!と彼は答えたらしい。まったく、ゲイの彼らは、わたしよりよほどロマンチストな面がある。 というわけで、どしゃぶりに降られながら、青く薄暗いお店でお誕生日会。 麻布十番 ライム…

馥郁たる春を待つ

3~4年前からお直しどきだと思っていたけれど、高額な修理代にひるんでなかなか思い切れなかった黒いライダースジャケット。しかし、久々に着ようと思って引っ張り出したら、さすがに色の剥げ方と皮の破れ方がみずぼらしいレベル… えいやと思い立ち、いよ…

父の履歴

もうすぐ父が亡くなって1年。歯ブラシとか下着とか、もう必要ないことが明白であるものは母が早々に処分していたけれど、人が70年近く生きた軌跡を払拭するには1年という時間はまだまだ短すぎるようで、家のあちらこちらからまだ父が使っていた物が出てくる…

崩壊する年越し

年越し。大学生の頃以来30代前半までは、カウントダウンイベントに行ったり夜通し友達の家で騒いだり、実家で紅白を観ることすらなかったけれど、ここ何年かはすっかり実家で紅白鑑賞派に逆戻りしていた。齢をとって、から騒ぎが億劫になってきたということ…

さようならの向こう側

2月の末に父が亡くなり、4月に愛猫が亡くなり、5月には父方の祖母が亡くなった。 文字面にするとなんとも壮絶で怒涛な印象だけれど、ドラマチックなほど悲嘆にくれるわけでもなく、大方が事務的で、滑稽で、淡々とこなされていった。 泣いていないわけではな…

年賀状はまだ書いていない。

世界で使われているmade in Japan製品を探すというテレビ番組の企画で、ギリシャの小さな田舎街にある小さな理髪店がクローズアップされた。 そこには42年前から使われている日本製の理髪店専用のセットイスがあって、お店のお客さんである近所の人たちは口…

忘れてはいない。

I think it translates better in Japanese, but... 「手伝わせていただく」。 「手伝う」んじゃなくて。It's them letting us help. God or whoever saved my life from this disaster is allowing me to help. 彼がこの言葉を言う部分を観て、涙がでた。 …

怠惰を逃れる術がない。

中原中也の『山羊の歌』のなかに『憔悴』という詩があって、 わたしは休みの日が終わるたびに、このフレーズを思い出します。 「あゝ 空の歌、海の歌、 ぼくは美の、核心を知つてゐるとおもふのですが それにしても辛いことです、怠惰をのがれるすべがない!…

安定のための安定には疑問がある。

やることが山積みで慌しくて、 脳ミソの中枢がジーンとするような日々を送っています。(1) (ヤンマガKCスペシャル)" title="万祝(1) (ヤンマガKCスペシャル)">万祝(1) (ヤンマガKCスペシャル)作者: 望月峯太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/08/05メデ…

夏の魔物に会いたかった。

大人の夏休みが終わってしまいました。 ええ、3ヶ月近く無職でした。 職はいくつか変えてきたけれど、 前職の間に職を決めなかったことははじめてで、 1週間を超えて休むことも、社会人になってから初めてでした。 「せっかくなんだから旅に出なよ!」とい…

神童のなれの果て。

友達の息子(5歳)が、本を読むのが大好きだといいます。 「何の本が好きなの?」 と気軽な気持ちで訊いたら、 「あくたがわりゅうのすけの、とししゅん」 という答えが返ってきました。 面食らいました。杜子春・くもの糸 (偕成社文庫3065)作者: 芥川龍之…

幸福ということについて考える。

故・児玉清氏がたいへんな読書家であったというのは有名な話。 本にまつわる色々な逸話を遺されていますが、わたしの大好きなものにこんなエピソードがあります。 児玉氏は海外によく行かれていたのですが、ある時ロンドンに向かうときに、読みかけの翻訳小…

2011年4月17日─4月18日。

この6年、4月18日はわたしにとっては友人の命日だったけれど、ここ1年程で親しくなった人の誕生日でもあることを、先日知りました。 これからは命日に彼を偲ぶことではなく、誕生日をお祝いすることの方がおっきくなったりするのかな。 あれ以来「彼の…

マシュー=ヴォーン監督『キックアス』を観ました。

水曜日。いくつかの映画館で映画が1000円で観られる日。 なんだかどうしても気になる、どうしても観たい映画があって、会社帰りにシネセゾン渋谷まで走りました。間に合いました。マシュー=ヴォーン監督『キックアス』。 監督としては目立った公開作品がな…

Innocent When You Dream.

恵比寿ガーデンシネマが今月末に閉館するそうです。 ガーデンプレイスができたばっかりの頃はまだ高校生で、何を観に行ったかは忘れてしまったけど、初めて足を踏み入れたときはなんだかすごくオシャレな大人になった気がして、ドキドキしたのは憶えてる。 …

サヨナラからはじまること。

色々あったから音沙汰なかったわけではなくて、 ケータイをAndroidに変えてから、すっかりtwitterっ子になっていたのでした。なんだか1年あまり、大人の春休みでもとっていたような気持ち。 人生に対して日和見になっていたことも、楽しいだけで実がなかっ…

TOKYO DESIGNERS WEEK 2010。

今年もチラ見してきました、東京デザイナーズウィーク。 様々なモノやコトをデザインするセンスって、訓練でも身につけられるとは思うけれど、割と才能に依るものが大きいんじゃあないかと思っています常日頃。 デザイナーとかそういう職業の方ではなくても…

おおきな木。

台風一過、東京農大の収穫祭へ。 あまりに混んでいたので、夕飯はタヴェルナ・アリーチェへ行きました。お探しの店舗のページはありませんでした食べログで店舗を探すアンティパストも各種パスタも本当に美味。青山や麻布でもっと高いお値段をつけて商売して…

大きな声で歌いたい。

気づくとこのPVをずっと見ています。 青春の要素がぎゅうぎゅうにつまった5分間あまり。わたしは小中学校の頃に合唱部に所属していたので、更にキュンときます。 大人になってからはもう、あんなふうに大勢で声を合わせて歌うことは、なくなってしまった。…