最近、えんげ(嚥下)がへたになった。

という言葉が最も印象に残っている、『にこたま』2巻を読みました。
29歳の女の子のセリフなのですが、確かに最近、物を呑み下したり気管に入ったものを出したりする力が弱まったような… 
齢か…


そんなリアルな描写だらけの、渡辺ペコ最新刊。

にこたま(2) (モーニング KC)

にこたま(2) (モーニング KC)

帯のコピーには“最後の思春期、第3次性徴白書”とあります。
正にそのとおり、三十路前の独身男女が、仕事・生活・結婚・子作り等に惑う物語。タイトルの『にこたま』には、男性の○○タマと女性の卵子の、両方の「たま」の意味が含まれているそうで…


渡辺ペコのマンガはどれも等身大で、笑えて切なくて、潔いところがよいのですが…今回はこのテーマだけに、他の物語より体当たり感が少ない。懊悩感たっぷり。
それでも笑いは失ってないのですが、まあ、真剣な悩みであるほど、そのサマは滑稽でおかしかったりするものだから。


「結婚もしてないわけだから相手が何をしようと束縛する権利はない、心は自由だ」というようなことを主人公のあっちゃんが言うと、「それはそうだけど、大事にしたい人を悲しませるようなことはしない、というのは、最低限の思いやりでありマナーだ」と友達が諭す場面、身につまされました。


人と関係を紡いでいるうえで、様々な言い訳を「心は自由」スタンスで押し通そうとすることって、すごく浅はかで子供っぽいことなのだな、と。


ラストはとても胸の痛くなる展開。彼らがどうやってこの性徴期を切り抜けるのか。続きが気になります。