悲しい気分のときは、呼び出して。

下北沢、開発が進んできました。わたしが遊んでいた頃、住んでいた頃とは街並みもだいぶ変わりました。
でも、今でも気持ちが落ち込んだり殺伐としたりしたときには、小田急線を途中下車してふらふらと散歩します。なじみのお店でお茶をしたり、本屋で立ち読みをしたり、古着屋を巡ったりしていると、なんとなく自分をとり戻していける気分になるのです。
思い出も多いし、わたしにとっては他のどこにもない、大切な街です。あの空気感が変わらないといいなと思います。
Save the 下北沢


あの街の雰囲気に魅了される作家も多いようで、下北沢をモチーフにした小説も多く刊行されています。

下北沢―さまよう僕たちの街 (ピュアフル文庫)

下北沢―さまよう僕たちの街 (ピュアフル文庫)

下北サンデーズ (幻冬舎文庫)

下北サンデーズ (幻冬舎文庫)

下北沢が関わる小説が刊行されると、下北沢のヴィレッジ・ヴァンガードで確実にポップ付きで面陳してくれるので、とってもわかりやすいです。
『下北沢 さまよう僕たちの街』の作家さんは下北沢で書店を経営している方で、リトル・モアから上製本が発刊された際にもヴィレバンでは大量に面陳されていました。文庫版も面陳まっさかり。
そして過去その面陳で知って読んだなかで、わたしの内でのナンバーワン下北沢小説が、清水博子『街の座標』。
街の座標

街の座標

主人公のくすぶったカンジと下北沢のムードが絶妙にマッチしていて、決して読みやすいとは言えない文体ともあいまって、当時下北沢をフラフラすること全盛期だったわたしの描く「下北沢」像そのものだった記憶があります。主人公と同世代だったということもあるのでしょう。今読んだらどんな印象を受けるのでしょうか。他の清水博子作品とともに、再読してみたいです。