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年賀状はまだ書いていない。

世界で使われているmade in Japan製品を探すというテレビ番組の企画で、ギリシャの小さな田舎街にある小さな理髪店がクローズアップされた。
そこには42年前から使われている日本製の理髪店専用のセットイスがあって、お店のお客さんである近所の人たちは口々に「このイスは最高に寝心地がいいよ」「他にないからまた座りに来ちゃうんだ」とイスを絶賛、店主である理容師さんも、とても大切に丁寧にそのイスを使い続けている様が映し出された。


その番組のすごいところはそこから。


70代〜80代のお爺さんたちが集められて、そのVTRが見せられる。彼らは40数年前にそのセットイスを製造販売していた会社に勤めていた人々。職人であり、事務方であり、海外営業であり。かつてセットイスを作り売ることに情熱を傾け、誇りと生活を賭けて尽力した人たちだった。
彼らは遠い国の片田舎でイスが使われていることに少し驚き、「こんないい状態でまだ使ってくれてるんだ」「革を張り替えてあげたいね」とVTRに見入る。
そこでギリシャ人の理容師さんは、カメラに向かって満面の笑みでこう言った。


「こんなにすばらしいイスを作ってくれてありがとう。このイスのおかげで私は子供を育て学校に行かせることができたし、街の人たちも幸せだ。ありがとう」


お爺さんたちはえも言われぬ表情をしていて、涙ぐんでいる方もいた。わたしも画面の前ではらはらと泣いてしまった。


そのイスの会社はまだ存続していて、いま現役でその会社に勤めている人たちもそのVTRを見せてもらっていた。VTRを観た後の「嬉しいですね」「また明日からも頑張ろうと思います」という彼らの姿はとても頼もしく、やる気に満ち溢れていた。


生きているとそりゃあ迷うことも不安なこともたくさんあって、いつも見失いそうになるけれど、わたしが今までやってきたこともこれからもやっていきたいことも、こういうことなんだと思う。それは仕事のことだけではなくって。


大義を見失ってはいけない。


年賀状は徐々に書きます。みなさんお元気でしょうか。
2013年もみなさんにとってすばらしい年となりますように。