雪が降りました。


いつもは無駄にブーツなのに、その晩にかぎって訳あってパンプス、しかもスエードのパンプス・・・帰宅する頃には爪先の感覚がないわ、びっしょりだわ、そりゃもうたいへんでした。

でも、雪は好きです。
それは多分幼い頃の刷り込みによるもので。


物心がついた頃には、既に赤道間近の常夏の島に暮らしていたわたしにとって、当時は雪というのは絵本やテレビのなかだけのもの。
実際に雪という現象を初体験した年齢が、四季のある東京出身者にしては少し遅め、日本に帰国した小学生になってからでした。
だから、雪景色を初めて見たときの驚きや感動、その記憶が、いまだにとても鮮明なのです。狂喜乱舞して兄と積雪のなかを転げ回った、その雪の感触まで憶えている気がするくらい。

こんな寒い日はあったかいうどんだよね!
と、ランチに会社近くの讃岐うどん屋でカレーうどんをすすっていると、背後の席からOLさんふたり連れの会話が聞こえてきました。


OLさんA(推定30代前半・地味)「まったく頭くる〜。」
OLさんB(推定20代後半・輪をかけて地味)「ホントですよね〜子どもじゃないんだから」
OLさんA「そうそう。若いっていっても社会人なんだからさ〜財布のなかにある程度のお金はいれとけっっつーの」


ドキ。
今日のわたし、出社時の所持金7円。
途中のATMでお金をおろして昼食中。


OLさんB「大体入口の一番傍なのに、あのコ代引き払ったことないんですよね」
OLさんA「そうそう。いっつも『持ってないんでお願いします〜』とか言っちゃって」


どうやら、同じオフィスの後輩女子が、宅配便の代引きの支払いをいつも先輩任せにしてしまう、という文句のもようです。
代引きを受け取る機会自体そう頻繁にはありませんが、わ、わたしも身に覚えが…


OLさんA「思うに、あれ絶対ウソよ。自分の財布からお金出したくないのよ。精算が面倒なんだかなんだか知らないけど、みみっちいったら」



ウソじゃない、きっとウソじゃないです!
わたしだってホントに7円しか持ってなかったんです!


OLさんB「ありますよありますよお金〜。だってあのコ、毎晩二丁目のオカマバーで遊んでるらしいですよ〜」
OLさんA「知ってる知ってる!オカマバーで遊ぶためにうちの会社入ったんじゃないの?(※現在地、新宿三丁目)」


!!
代引き支払いの話からアフター5の話へ!
そしてオカマバーへ!オカマバーから入社の動機まで!


わたしが実際にそのオフィスにいたわけではないので、ひょっとしたらその後輩女子がモンスター新入社員であったりするかもしれないし、誰がどう悪いとジャッジすることはできないのですが…


代引きを受け取らなかっただけで、こんなことに…!


まあ、会社という世界は概してそういうものなのかもしれません。
わたしが以前いた会社では、備品補充の責任の所在が部署同士の対立の火種となり、部署がひとつ潰れたことがありました(!)。
会社という小さな社会で起こることは、冷静に考えるとくだらないことでも、とても大きな事態になってしまうことが多々あると思います。


とりあえず、財布にお金はいれておくことにしよう…。


一方、隣りのテーブルでは、どうやら会計事務所にお勤めらしい同僚同士の会話が。


所員A「へ〜今ケイサン(=わたしの頭の中で漢字変換=おそらく『計算』)課にいらっしゃるんですね。どちらの班?」
所員B「僕はチンジュツ(=変換=『陳述』)班です。ちょっと前までシワケ(=変換=『仕訳』)班だったんですけどね」
所員A「僕は今ケイリ(=変換=『経理』)課ですけど、以前ブンルイ(=変換=『分類』?)のリードギター(=変換=『!?!?』)やってたんですよ」
所員B「へ〜リードギター(=変換=『!?!?』)だったんですか〜」




リードギター』というのは、何の役職ですか…?


自分が一体何を聞き間違えたのか、いまだ不明。


他人の会社、未知の業界というのは、本当に判らないものです。