見知らぬ街。

昼下がりに新宿通りで信号待ちをしていると、前で腕を組んで待っていたカップルが振り返り、女性の方に尋ねられました。ギャル風、推定20代中頃。


女「電車に乗りたいんですけど、駅はどっちですか?」


そこはちょうど新宿御苑前駅四谷三丁目駅の中間地点くらいで、どちらへも徒歩7〜8分くらいの位置でした。


私「ここをまっすぐ、結構まっすぐですけど、まっすぐいくと、丸ノ内線の駅がありますよ」
女「渋谷へ行きたいんですけど、渋谷に行きますか?」
私「渋谷だったら新宿乗り換えですよね?新宿には行きますよ」
女「新宿…えーよくわかんない」


と、男性を見上げる女性。


男「新宿かー。たぶんそうだな。や、そうだよ。だいじょうぶ」


と、自信なさげながらも、女性の手前か頼もしさを見せる男性。


ん?新宿って、メジャーじゃない?いやいやここ、なにげに新宿区だし?
ってかそもそもあなたたち、この位置までどうやって来たの?
訝しく思い、よくよく彼らを見ると…
この真冬に、男性はビーサンに素足、女性のコートの下から見えるのは…ブラジャー?!
コートに下着姿ってこと?!



な、何があったのーーーー?!


男・女「ありがとうございました」


呆気にとられているわたしを残し、彼らは立ち去っていきました。
とは言っても、彼らの行く方向とわたしの進路は同じ。
狭い歩道の前をチンタラチンタラ、時速100メートルくらいの速度で歩く彼らを追い越すに追い越せず、途中で左折、わたしは先回りをしました。
しばらくして新宿通りに戻ると、後方200メートルくらいの位置で、またもや通りがかりの人に道を尋ねている彼らの姿が。


まだ3分も歩いてないからーーーー!
わたし嘘言ってないからーー
もうちょっと辛抱して歩いてーーー


まあ、確かに、あの速度で歩いたら、駅まで30分はかかるだろうな…
彼らのバックグラウンドとその後に想像を巡らせ、悶々とする午後なのでした。


ここは大都会・新宿、奇妙な出会いがたくさんあります。