生き延びる本。

本は繰り返し繰り返し処分したり売ったりしていますが、何度もにわたる淘汰を生き延び、どうしても手元に置いておいてしまう本というのは何冊かあります。
わたしの物語好きの原点とも呼べる安房直子『きつねの窓』、小学5年生の頃から何度も繰り返し読みほぼ暗記している森瑤子『別れ上手』(なぜ?)、くらもちふさこ『いつもポケットにショパン』、浦沢直樹『MONSTER』…人となりがバレます。

毎月新聞

毎月新聞

大好きな佐藤雅彦氏の『毎月新聞』。これもサバイブ組の内の一冊です。
これは毎日新聞に連載されていた氏のコラムをまとめた本で、字数がほぼ決まっているだけに、ひとつひとつのコラムがとてもシンプルなのですが、笑えたり考えさせられたり泣けたり、どれも胸に残ります。よけいなものを削ぎ落とした簡潔な文章で人の心に訴えかけられるというのは、本当に羨むべく才能です。
その中でも、わたしが人生が滞っているなと感じるときに読み返す、「オレンジの皮」というお気に入りのコラムがあります。個人差はあると思いますが、読後は少し眼前が明るくなったような気持ちになります。わたしはほろっとさえきました。一読の価値あり。