森田芳光監督『間宮兄弟』を観ました。


30代になっても二人きりで暮らす兄弟。休日になればグリコ・チョコレート・パイナップルじゃんけんをしながら近所の定食屋に向かい、夜になれば枕を並べ一日の出来事をさながら修学旅行のように語り合う。二人は仕事以外はいつも一緒…実際そんな30代男二人がいたらば、とてもキモイです。でもこの映画では、二人の姿が滑稽で哀しいながらもとてもいとおしく思えます。佐々木蔵之介×ツカヂほか、絶妙なキャスティングのおかげかと思います。

彼らの部屋は彼らの大好きな物で溢れ、毎日には目の醒めるような突出した出来事はないながら、小さな生活の喜びでいっぱい。気の置けない同性とこんな生活がおくれたらどんなに安らぐことでしょうか。しかし男子はともかく、女子はそうもいかないですね。なんとなく。


とにもかくにも、映画のようにはいかない現実は容赦なく人を巻き込むものですが、近頃仕事に忙殺され世間の実利や欲望にまみれ、「生活」を楽しむことを忘れているなと反省させられました。洗いざらしのシーツきもちよいとか、鍋で角煮を5時間煮込もうとか、夕焼けを歩道橋からぼうっと眺めるとか、まあそういうことです。