食べ物のことばかりを考える

ゆとり世代の部下が、目を離すとサービス残業に明け暮れることが、目下の悩みです。残業代は100%申請通りに払われるし、残業時間が20時間を超える社員すら片手に数えるほどしかいない平和な会社にいながら、なぜサービス残業なんてするのかしら。サービス残業なんて、平成の時代から既に死語だと思っていたけど、とYさんに問うと、「きっと成功体験があるんだろうね。遮二無二働いたら褒められた、みたいなさ」とのこと。なるほど。

テレビで流れてきた音楽を耳にして、「『池袋ウエストゲートパーク』だ!」と即座に20年前のドラマを思い出す。チャイコフスキーの弦楽セレナーデ。音楽の使い方もとっても印象的なドラマだった。


近頃はインスタグラムやYouTubeで料理のレシピばかりを見ている。

いつもよりもたくさんの人が色々なレシピをアップしていて、例えばナポリタンひとつをとっても4つも5つも出てくる。美味しそうで楽しくて仕方ない。でもその中から自分が実際に作ったのは、1ヶ月の在宅勤務期間でまだ2つだけ。

みんなのように料理の腕のアップグレードに邁進するわけではないけれど、気がつくと食べ物のことばかりを考えている。恋人のことよりも、もっとずっと考えている。

レシピを見ながら、楽しかった数々のレストランや飲み屋のことを、まだ見ぬ未来の楽しみな食卓のことを、たくさん思う。

気の置けない人たちと楽しく食べるご飯は、私の日常のなかでとってもプライオリティの高いものだった。