今日だけは神様のことみんな信じてる

2015年最後に観た映画は橋口亮輔監督の『恋人たち』。

独りで映画を観ることはめっきり減ってしまったけれど、特に誘う人も浮かばないし誘われもしないのに自分はすごく観たいとか、今この時に観たいとか、周期的にそんな映画が巡ってきて、独りで映画館へ足を運ぶ。これもそんな映画のひとつ。

橋口監督は、『ハッシュ!』の主役3人の演技がとても印象深くて、そのときに片岡礼子という女優の名前を覚えた。さばさばしていてすてきな女優さんだと思った。最近あまり見ないなと思っていたら昨年か一昨年に民放ドラマで見かけて、セリフがどえらい棒読みになっていたので度肝を抜かれたけれど、彼女の声質とまなざし、たたずまいはやはり変わらず独特だった。俳優の味わいを引き出す橋口監督の手腕はすごいと思う。


恋人たち 2015 映画予告編

夫と姑から見向きもされない日常を送る平凡な主婦。通り魔に妻を殺害されたことにより精神を病み、満足に収入を得られなくなった男。同級生に片思いを続けるゲイの弁護士。

出てくる人たちはみんな大きく小さく不幸だけれど、こんな不幸はどこにでもある。名前がついていなくても、取り沙汰にされなくても、そこここに無造作に転がっている不幸だ。

こんな不幸がどこにでもあるのに誰も気にしてくれないという現実は、なんて非情で不条理なものだろうか。

でも、生きていくということは、そんな中にも垣間見える微かな希望や、小さな喜びをつないでいくものだ。裏切られながら失望しながら、それでもつないでいくものだ。

束の間誰かと笑いあったり、時に温かいものを頬張ったりしながら。

わかるよ。誰もわかってくれないと思うのもわかるよ。どうしようもなく辛いのも、投げ出したいのも、わかるよ。でも、つなごう。と、寄り添ってくれるような映画だった。

 

ユニコーンの『雪の降る町』を聴かなかった年末はとってもひさしぶり。そのくらいあっという間に明けてしまった。


UNICORN 雪が降る町

かれこれ20年以上、脳内ベスト年末ソング。元旦に『お年玉』に切り換わるという流れ。


UNICORN 「お年玉」

どちらの曲も、日本の年末年始のココロを絶妙に描写していると思う。

 

初夢は、なんと隠れて浮気をする夢。驕るな、という意味があるらしいので、謙虚に努めたいと思います2016年。