夢か現か。

諸事情により、20世紀初頭の短篇小説を三篇、一気読みしました。

文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

サラサーテの盤―内田百けん集成〈4〉 (ちくま文庫)

サラサーテの盤―内田百けん集成〈4〉 (ちくま文庫)

江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男 (光文社文庫)

漱石の『夢十夜』と乱歩の『押絵と旅する男』は再読、百けんの『サラサーテの盤』ははじめて。
怪奇小説幻想小説というようなジャンルに区分されるものと思います。私はあらゆる物語を読みますが、こういう、おどろおどろしく不条理な小説に、最もそそられます。なんだか血が騒ぐのです。最近の作家では、恒川光太郎に尽きます。


どれも80〜100年前のものとは思えないほど、今読んでも素晴らしくみずみずしい表現に溢れています。
夢十夜』の第一夜で、男がひたすら女が再び会いに来るのを待ち続ける場面─真珠貝の裏に反射する月の光、落ちてくる星の破片、昇っては沈む太陽、咲いていく百合の花…なんと美しい時の移ろいの表現でしょうか。
押絵と旅する男』では、浅草を駆け抜ける男の描写が見事です。
サラサーテの盤』、瓦の上を石が転がっている様を描いただけなのに、それだけで何とも言えない戦慄を読者に与えることができる筆力、脱帽です。
ああ素敵。うっとり。
この表現に触れたあとだと、現代の小説の大方がだいぶ稚拙なものに思えてきてしまい悲しいものがありますが…この現代だからこそでき得る表現も、きっとあるはず。


ところで、昨年末より定期的に整体に通いはじめました。
運動も継続していくつもりですが、それだけではどうにもこうにも骨格の歪みが治らず。
まずは身体からまっすぐしていきたいな2009。心もまっすぐになるかしら。
少しでも気づかれた方、「なんか最近まっすぐになったね」ってお声がけください。励みにします。心でも体でも、どちらでも可。


さあ、仕事始めです。