中村うさぎ『セックス放浪記』を読みました。

会社の方からお借りして。
中村うさぎ、といえば、毎週『週刊文春』のエッセイ『さすらいの女王』を読んでいます。アクが強いなというのが大方の印象ですが、実体験が基なだけに逼迫していてグッとくる文章も多々あります。また、この業の深さというか、問題提起や考え方のスパイラルぶりが、わたしの友人のひとりにすごく似ているように思うので、うさぎさんの文章を読むと常に彼女を思い出します(心当たりのある方はご一報ください)。

セックス放浪記

セックス放浪記

今回の本もしかり。ウリセンの男を買ってみたりハプニングバーに行ってみたりSMクラブでM体験をしてみたり、と、セックスを軸に著者が自らの女としての価値を追究した、赤裸々な体験記となっています。前著『私という病』の続編ともいえます。


後半の、自身の尽きない浪費やセックスに対する欲望の理由を追究する自問自答、自己分析には鬼気迫るものがあります。わたしはその切実さに胸を揺さぶられ、涙してしまいました。「自己顕示欲が強すぎる」と一蹴してしまえる人もいると多いと思いますが、同じように苦悩する人がいる、と救われる女性も少なくないのではないでしょうか。
巻末に収録された、佐藤優氏との対談も、他にはなく面白いです。

私は、ありのままの私を愛せない。でも私は、私を愛さないことには生きていけないのだ。自分を憎みながら、自分に失望しながら、それでも「いつかは、私が心の底から愛せるような自分になれるかもしれない」と一縷の望みを抱き、これまで何とか諦めないで生きてきた。