マイケル=パトリック=キング監督『SEX and the CITY』を観ました。

『SATC』といえば、ニューヨーク在住の独身30代女性4人の毎日を赤裸々かつコミカルかつ切なく描いた、6シーズンにわたる大人気ドラマシリーズです。
現地米国では2004年に放映が終了しているものの、全世界に根強いファンをもっています。
わたしの周辺の女子(およびゲイ)も大概観ていて、現30代〜40代女子(とりわけ独身)のバイブルといっても過言ではないかと。わたしは2つ前の会社を辞める際にお餞別でDVDボックスを頂戴しているので、我が家に至っては母(50代)のバイブルでもあります。男の人は、あの生々しい女の世界に入りこめない人も多いみたいですが。

セックス・アンド・ザ・シティ コンパクトBOX vol.1 〈シーズン1・2・3〉 [DVD]

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ドラマ『SATC』を観はじめたのは24歳のとき。各エピソードで描かれる恋愛観や結婚観、テクニックや駆け引き、友情やキャリア、理想や現実などはとてもリアルで、同居人たちとワイワイ語り合いながら観たものです。
シーズンを経れば経るほど登場人物たちの恋愛模様や人生そのものに深みが増し、一層切なく。そして自分も、年齢を経てから再び観ると、また以前とは違った部分に共感したり涙したり。主人公であるキャリー、シャーロット、サマンサ、ミランダの4人は、もはや長年のお友達です。
日本はもちろんのことアメリカでも、あんなふうに女の人生を描いたドラマは他にありません。妙齢の女性脚本家数人が、毎回身を削ってネタを持ち寄ったと聞きますが、それだけの含蓄はあります。


そして待望の映画版。母に羨まれながら、独身女4人、喜び勇んで観てきました。
正直、ドラマ版を観ていない人にとっては駄作だと思います。でも、ドラマを観てきたファンにとっては、笑って泣ける感動長編映画です。あっという間の2時間30分、贅沢なシーズン7でした。
ドラマで有名になったパトリシア=フィールドのスタイリングは過剰ながらもキラキラしていて目の保養になるし、音楽もFergieやRUN DMC、India Arieなど盛りだくさんで、とっても楽しい。
そして何よりも、変わらない4人の友情がすばらしいです。シャーロットがキャリーのためにかつてない形相で怒る場面はぐっときます。号泣。

Sex and the City

Sex and the City

キャリー役のサラ=ジェシカ=パーカーは、インタビューに応えて、「『SATC』はリアルなようでいてよくできたフェアリーテール。いい齢の、一部は家庭をも持っている女友達が、こんなに頻繁に会っておしゃべりができているんだもの」というようなことを言っていました。正にそのとおり。
どんなに仲の良い親友でも、仕事に忙殺されたり、結婚したり、家庭を築いたり、それぞれの人生がいろいろな形に分かれていってしまうと、哀しいかな、昔みたいには時間を気にせずおしゃべりに興じたり、ピンチの時にいつでも傍についていてあげられたり、ついていてもらったりはできません。映画の中のミランダではないけれど、そういう意味では、独身でも結婚していても、齢をとると独りぼっちです。それでも心はつながっているのは、間違いないのだけれど。


心地のよいフェアリーテールに泣き笑いながら、傍らの親友たちを、遠くの親友たちを想うのでした。