おもひ出しおもひ出しては秋の雨。


芭蕉の弟子・服部土芳の句です。
ずいぶん昔、高校生くらいのときに俳句便覧のようなもので見てから、この時期になるといつも思い出す俳句。
何の脈絡もなく心に残り続けるワンフレーズって、ありますね。


俳句の勉強をしてたとき、季語では秋の長雨は、『秋霖』『秋ついり』ともいう、と教わって、そのとき、『シュウリン』『アキツイリ』って心の中で何度もつぶやいてみて、ああ日本語って美しいなあって少し感動したのを憶えてる。
「季語」っていう考え方、日本独特ですごく好きです。英語で言うとどうなるんだろう?
words that indicates the season?


寂しいのと情けないのと悲しいのと、前向きなのと冷静なのと清々しいのと、いろいろな気持ちが合わさったような、乏しい語彙ではとうてい表現のできない気持ちでいる、秋雨の日。


友達や知人は少なくなく、むしろ多い方だと思います。
けれど、幾度の出会いを経ても何回別れを繰り返しても、まだまだ経験したことのない感情があるというフシギ。心の深淵。
きっと、他の誰かは知っているのに、わたしは一生知り得ることのない気持ちも、あるんだろうな。


そう思うと、人の一生って短い。文字通り、一度きりだ。


日和見になっていてはいけない。