ソバ屋で憩う。
蕎麦が好きです。
「好き」というよりは、食べ物のなかでもっとも慣れ親しんだ、古株のお友達というか。
今となっては自分でも信じられませんが、わたしは幼いころ著しい偏食家で、野菜はもちろんのこと、肉も魚も、ほんの一部のものしか食べませんでした。そんな幼いわたしの数少ない好物が、スパゲッティミートソースと、お蕎麦。
田舎蕎麦も更科蕎麦も、冷たいのもあったかいのも、きつねもたぬきも、月見もとろろも、カレー南ばんも鴨南ばんも、ああ、なんでも好き。
お酒を飲むようになってからは、蕎麦を〆としてソバ屋でちびちびと日本酒を飲むのも好きです。
- 作者: 杉浦日向子,ソ連
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 文庫
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ソバ屋には、蕎麦を食べるだけではなく、つまみを食べながらお酒を飲む愉しみがある、ということを教えてくれたのは、この本だったと思います。かっこいい大人たちだなあと、20歳のわたしは憧れたものでした。
しかし当時は、この本に載っているお店に行ってみたりしつつも、つまみを食べながらソバ屋でゆっくり、ということに、どうも違和感がありました。間をもて余す、というか。
年若い娘っ子とその仲間たちには、まだ似つかわしくなかったのだと思います。
あれから10年余り、ソバ屋での飲み姿も、少しは粋になったでしょうか。
粋かどうかは分かりませんが、ソバ屋でお酒を飲む時間がとても肌に合ってきた気はします。
居酒屋のようにワイワイしていずしっとりしていて、けれどフレンチほど気どってもいず。向かっていく〆が決まっているせいか、変にダラダラしていず、どこかにシャキッけじめがあるような。
冷奴やネギぬたや板わさをつまみながら、気の置けない間柄の人と日本酒をちびちびと飲み、語り合い、程よい頃合いにお蕎麦をつるっとすする…幸せです。
山せみに行くつもりでしたが混んでいて入れず、「ソバ屋で一杯の気分だったのにー」と、とぼとぼと駅に向かっていたところ、思いがけず、目の前に手打蕎麦・ごとうの灯りが!救世主!
この秋冬、初めての日本酒。喉ごしのいいお蕎麦。ほっこり落ち着ける、すてきなお店でした。
手打蕎麦 ごとう
03-6906-8639