コーエン兄弟監督『バーン・アフター・リーディング』を観ました。

『ファーゴ』以来、コーエン兄弟の映画が好きです。前作の『ノーカントリー』以外は、全部観てます。
『ファーゴ』の際のパブを今でもはっきり憶えてます。
人の倒れた白い雪原、対照的な赤い血、そしてキャッチコピー「人間はおかしくて、哀しい」─コーエン兄弟の作品を象徴する1行だと思います。


相変わらずの群像劇。
アルコール依存症でCIAをクビになった男、その妻は実は不倫中で夫との離婚を画策、不倫相手はエリート連邦捜査官ながら出会い系サイトに夢中で、出会い系サイトで出会った女はスポーツジムに勤める全身整形で頭がいっぱいの中年女、彼女のジムの同僚は筋肉バカのアホ男で…アホ男が1枚の機密情報(?)ディスクを拾ったことを発端に、勘違いやら思い込みやらがもつれあい、彼らはホントどうしようもなくくだらない、でものっぴきならない人間関係に絡めとられていくのです。
なんと自分勝手でバカで浅はかな人たちなのでしょう。でも、こういう人っているいる!いるし、自分にも大いに彼らの要素がある!人間の滑稽さと哀しさを描かせたら随一、やっぱりコーエン兄弟の右に出る者はいないです。


前評どおり、ブラッド=ピットのアホっぷりが最高!スポーツドリンクばかり飲んでる頭まで筋肉なジムのインストラクター役なのですが、話し方といい目をまん丸に見開いたアホ面といい…こういう、よく見ると素材はいいのに、ファッションセンスや頭の悪さにより残念な結果になってしまっている男、いるいる〜。ブラピ、ひょっとして本当はこういう人?と思わせます。ジョージ=クルーニーもちょいダサなアメリカ人の雰囲気全開。こんなオファーを快諾した、彼らの度量にあっぱれ。
映画のパンフレットに載ってたスタイリストの談によると、彼らは何を着せてもカッコよく着こなしてしまうので、ダサく仕上げるのは相当骨の折れる作業だったそうです。それもすごいなー。
とにかく絶対に他では観られない、大スター達の怪演(?)です。必見。