『ダメージ』を観ました。

グレン=クローズがTVドラマに初主演、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したという話題作です。
これが面白かった。
グレン=クローズが演じるのは、NY法曹界で名うての敏腕弁護士パティ=ヒューズ。彼女の事務所に新人弁護士エレン=パーソンズ(ローズ=バーン)が就職し、大富豪の会社経営者を相手どった訴訟事件を担当することになるのですが、そこへ不可解な事件が次々と起こり、それぞれの思惑や策略がこれでもかこれでもかと絡み合う…という、リーガル・サスペンスです。知らなかったのですが、ここでの“ダメージ”=“DAMAGES”とは、“損害賠償”という意味なのですね。
このドラマ、全編にわたって時間が交差し、フラッシュバックでエピソードが進行していく、という構成になっています。これが煽るあおる!
第1話の導入が、現在のエレン、血まみれで走るという場面。で、6ヶ月前にさかのぼり、エレンが未来への希望を胸に就職するという場面に切り替わるのです。「一体何があったの?!」というところで、ガーッと気持ちを持っていかれます。
以後同様に、逐一「いろいろあった6ヵ月後」が映るので、まだ「いろいろ」を知らない視聴者は謎が深まったり明らかになったり。次の展開が気になってならなくなります。巧妙な手法です。


新人弁護士であるエレン、かっこよくて優しく理解ある医者の婚約者がいて、憧れの法律事務所にも就職が決まり、さらに美人、という幸せを絵に描いたような女性なのですが、正義に燃える彼女の理想と人生が、冷徹であくどく、甚だしくパワフルなパティと関わることによって、まったく予期しなかった方向へ転がっていってしまいます。ローズ=バーンの表情の変化が見事!はじめは初々しく鼻っ柱の強いやんちゃなカンジがかわいいのですが、終盤は『エイリアス』のジェニファー=ガーナーを少し思わせるような、悲しみと冷酷さをたたえた、妖艶な美しさをもった女性へと変わっていきます。そして、グレン=クローズの情熱的かつ冷ややかな、空恐ろしい演技ときたら…女優ってすごい。


たった6ヶ月のことなのに。確かに、長い時間をかけて動く気持ちや状況もありますが、短い時間で濃密に始まり終わることもあります。ひとつの出会いによって、気づいたときには思いもよらないありさまになっている…人生とは、そういうものでもありますね。


関係ありませんが、同じ事務所に『The OC』のミーシャ=バートンのパパがいます。かなり重要な役柄。どこかで見たと思ったら〜。アメドラを大量に見ていると、ちょくちょく「どこかで見た人」に出会います。


さて、夏休みです。
夏の終わりの海を見ながら、わたしもここ数ヶ月の人生を考え直してみようかと思います。頭冷やせー。