松本貴子監督『≒(ニアイコール)草間彌生 わたし大好き』を観ました。

様々なアーティストを追いかけるドキュメンタリーシリーズの第5弾。前衛芸術家・草間彌生さんの新作が完成するまでの日々に、1年間あまり密着した映像です。
わたしは有名無名、老若男女を問わず、自分に絶大なる自信と脇目もふらぬ情熱を持っている人に人一倍弱いです。そしてそういう人は、得てして大きく何かが抜け落ちていたり、一般的には真ん中あたりをうろうろしているメーターの針が、右に左にガツンと振り切れていたりします。つまりは、奇天烈な人が多いです。周囲はなかなかたいへんです(まあだからこそ、わたしの色恋はいつも順当には進まないのですが…)。

というわけで、草間彌生さんが好きです。
想像どおりぶっとんだ方でありながら、チャーミングな方でした。世間的に言えば立派に「おばあさん」という齢なのですが、誰が彼女のことをそう呼べるでしょう、という傑出したオーラ。監督も含めて、草間彌生さんの周囲の方々の相当な苦労が慮られましたが、大層こなれているようであるのと、何より草間さんをこよなく敬愛していることが伝わってくるので、まったくたいへんそうではありませんでした。
強い信念や情熱というのはときに敵を産み出すものと思いますが、必ずや誰かの心を先導し扇動し、数は少なくとも、絶対的な味方を得られるものと思います。

奮い立たせられる、よい映画でした。

無限の網――草間彌生自伝

無限の網――草間彌生自伝