よしながふみ『愛がなくても喰ってゆけます。』を読みました。

愛がなくても喰ってゆけます。

愛がなくても喰ってゆけます。

著者の分身であろう女性漫画家Yながとその仲間たちが、都内の美味しい飲食店で食べまくるグルメショートショート漫画です。どのお店も実在するお店で、ガイドと地図がそれぞれのお話の最後についています。
とにかく描写がすばらしい!
「がっつりカニのダシの味がするトマトクリームソースでうまいんだよこれが!!やっぱりイタリアン食いたい時ってガツンとした味のもん食いたい時だしさ!!」
「洋食メニューをたらふく食ったあとの甘くて微発砲のマテウスロゼは最高」
「生たまねぎがフォーと合うよ!」「このおかゆもあげねぎが香ばしくて味がしっかりしてて中華がゆとも違う味でおいしーよ」
言葉としては難しい表現を使っているわけでは決してないのに、登場人物が食べ物をガツガツ頬張りながら紅潮している顔で会話しているセリフなので、ライブ感たっぷり。内臓が躍動、食欲がそそられたまらなくなります。おそるべき表現力です。食への情熱がそうさせるのでしょう。観ているものまでをも突き動かす、それが本当の情熱。これは決して夜中に読んではいけない漫画だ!
彼女たちは30歳前後という設定なのですが、生活や日々感じることに爆笑を誘われつつ、切なく共感させられる面もあり。ストーリー漫画としても立派に成り立っています。7話目、Yなががある原因で恋人と破局してしまう話、ものすごくわかる!