ミッシェル・ゴンドリー監督『恋愛睡眠のすすめ』を観ました。

主演はガエル・ガルシア・ベルナル。アルモドバルの映画でいつもハードな役を演じているイケメン・ガエルですが、今回の役どころは違いました。ややマザコン、自意識ばかりが高いゆえにまともに仕事も続けられない、妄想ばかりな、いい齢をしてダメ〜な男子。しかしガエルが演じると、情けなくもかわいく思えてくるからフシギです。ボンボン付きの毛糸の帽子があんなに似合う30代の男性というのは、そうそういないのでは。その彼が恋に落ちてしまうのが向かいのお部屋に住んでいるシャルロット・ゲンズブール。小汚いセーターにジーンズ姿ですっぴんに近いのに、なぜあんなに美しいのでしょう。
さすがゴンドリー、前回『エターナル・サンシャイン』のときのジム・キャリー×ケイト・ウィンスレットもなかなか思いつかない組み合わせと役柄だったと思いますが(見事にハマっていた!)、今回もまたしかり、すばらしいキャスティングでした。

CGをなるべく使わないというゴンドリーのポリシーは相変わらずで、ダンボールやセロファンで作られたガエルの妄想世界がコマ撮りや逆回しで展開するサマは、まるでおとぎ話のよう。観る者をも夢世界に引き込み、終始メリーゴーランドにでも揺られているかのような、幸せな気持ちになりました。
しかし温かみがありながらも微笑ましいだけでは終わらず、逆にシュールな仕上がりになっている場面も多々ありました。さすがゴンドリー。おとぎ話って実は残酷だったりしますからね。
ラストはその残酷さの集大成だと思うんですが、観ようによってはハッピーエンドでもあります。わたしは切なくて少し泣きそうになったのですが、他の方々はどう捉えるのでしょうか。誰かの感想が聞いてみたくなるエンディングでした。

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