蜂飼耳『孔雀の羽の目がみてる』

大きな声で言ったことはあまりないのですが、わたしは以前とっても詩が好きでした。10代の頃には、中原中也の詩を書写していたこともあります。ええ、とっても思春期っぽいですね。

孔雀の羽の目がみてる

孔雀の羽の目がみてる

『孔雀の羽の目がみてる』は、その中原中也賞を5年くらい前に受賞した詩人である蜂飼耳(はちかい・みみ)の初エッセイ集です。
毎日通勤の鞄に入っていて、会社のゆき帰りに一篇ずつたどっています。するとガサガサだった心がしっとりとうるおいはじめ、追い越し追い越せだった時間も、ゆるやかに流れ出すのですね。
耳さんは3つ年上なだけなのに、まるで違う時代を生きているかのよう。こんな言葉を使い、こんなふうに物事を感じ入る女性もいるのだなと。川上弘美の空気感に少し似ています。
おわら風の盆」「いそいでめくる」「すきではなくても胸を噛む」…ほら、小題もそそられるでしょう。是非に。