キム=ギドク監督『サマリア』を観る。
- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
- 発売日: 2005/09/23
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救いを求めてあがく者の、苦悩と悲しみの物語である。
社会の病理を描いている、とひと言では済まされない。何のためにこれを描いたのか正直わからないほど、つらい展開である。
しかしそんな中、クァク・チミン×ハン・ヨルムの少女ふたりの、なんて清らかで美しいこと。他の誰もふたりの間に立ち入ることを許さない、思春期の女子独特の聖域の作り方である。
あどけなさや哀しみや残酷さは、時に崇高な美しさを導く。キム・ギドク監督はやはりカトリックなのだろうか?
そして、この映像美。
塀の上に座った形で連なる銅像にならんで、少女ふたりが座る場面。そして、木造りのイエス像の背後から、少女たちがひょこっと顔を出す場面。落ち葉に埋もれた公園、父娘がさまよう川原。
アメリカ映画の美でもフランス映画のそれでもない、わたしたちの暮らすアジアはこんなにも美しかったか、眩いほどである。