犬童一心監督『メゾン・ド・ヒミコ』を観る。

メゾン・ド・ヒミコ 通常版 [DVD]

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犬童一心は皆が絶賛していた『ジョゼと虎と魚たち』、あれが今ひとつハマレなかった。
原作の空気が好きだったので、妻夫木×池脇がイメージとあまりにズレていたからでしょうか。はたまた、犬童のあの物語に対する解釈が腑に落ちなかったからでしょうか。もっとサバサバした物語だと思うのですね、あんなにおセンチなものではなく。


しかし、犬童の映像の色と雰囲気は好きなので、今回は期待してた。正直言うと、予告編のときから気になってならなかった。なんてったってオダギリジョーさまが観たかった。
結果、この映画は好きだった。舞踏家・田中泯、登場するとセリフは棒読みなのに、ただならぬ存在感で画面を支配する。ただそこにあるだけで人々を魅了するというのは、才能であろう。
終始しかめつらはもはや芸風のようだけれど、柴咲コウもたいへん好感のもてる演技だった。
一緒に観たゲイ界に詳しい友達に言わせると、「出てくるゲイがすべて嘘っぽくて気になって集中できなかった」らしいけれど、わたしはジョーのゲイっぷりが切なくて美しくてうっとりしてしまった。白いスーツのたたずまいがあんなにしっくりくるのは、日本人では彼とハラショーさまだけでしょう(後者のほうが王子様度高し)。
愛する人の死を前にして、「欲望がほしいんだ」と嘆く彼の場面は切迫していて息を呑む、涙を誘う。
結局何ひとつ解決はしない物語なのだけれど、独りきりだった者たちが体当たりの末、独りきりのまま寄り添い生きる処ができた、それがあの夏のあった意義であるのだった。
あんな海辺の洋館があったらば、わたしもひと夏を過ごしてみたい。


余談ではありますが、犬童のラブシーンは毎度生ナマしいですよね。ねっちょりしています。舌見えまくりです。長いです。実は『タッチ』も観にいく予定なのだけれども、まさかタッちゃんと南ちゃんのラブシーンまでねちょねちょじゃないでしょうね?