犬童一心監督『メゾン・ド・ヒミコ』を観る。
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/03/03
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 87回
- この商品を含むブログ (255件) を見る
原作の空気が好きだったので、妻夫木×池脇がイメージとあまりにズレていたからでしょうか。はたまた、犬童のあの物語に対する解釈が腑に落ちなかったからでしょうか。もっとサバサバした物語だと思うのですね、あんなにおセンチなものではなく。
しかし、犬童の映像の色と雰囲気は好きなので、今回は期待してた。正直言うと、予告編のときから気になってならなかった。なんてったってオダギリジョーさまが観たかった。
結果、この映画は好きだった。舞踏家・田中泯、登場するとセリフは棒読みなのに、ただならぬ存在感で画面を支配する。ただそこにあるだけで人々を魅了するというのは、才能であろう。
終始しかめつらはもはや芸風のようだけれど、柴咲コウもたいへん好感のもてる演技だった。
一緒に観たゲイ界に詳しい友達に言わせると、「出てくるゲイがすべて嘘っぽくて気になって集中できなかった」らしいけれど、わたしはジョーのゲイっぷりが切なくて美しくてうっとりしてしまった。白いスーツのたたずまいがあんなにしっくりくるのは、日本人では彼とハラショーさまだけでしょう(後者のほうが王子様度高し)。
愛する人の死を前にして、「欲望がほしいんだ」と嘆く彼の場面は切迫していて息を呑む、涙を誘う。
結局何ひとつ解決はしない物語なのだけれど、独りきりだった者たちが体当たりの末、独りきりのまま寄り添い生きる処ができた、それがあの夏のあった意義であるのだった。
あんな海辺の洋館があったらば、わたしもひと夏を過ごしてみたい。
余談ではありますが、犬童のラブシーンは毎度生ナマしいですよね。ねっちょりしています。舌見えまくりです。長いです。実は『タッチ』も観にいく予定なのだけれども、まさかタッちゃんと南ちゃんのラブシーンまでねちょねちょじゃないでしょうね?