穂村弘『現実入門』を借りて読む。

現実入門

現実入門

人生における経験値が極めて少ない作者が、合コン・献血・ショールーム見学などをひとつずつ体験していくエッセイである。
この歌人の視点はいつもたいへん面白く、歌人だけあって、言葉の選び方も絶妙である。コージーな終わり方をせずに、フェードアウトしたり尻切れトンボになったり、そんな余韻の残る結び方が好きだ。
"<生活>といううすのろ"を乗り越えられるのならば、未来は希望に溢れている。


今の小さな会社は家族みたいで、1日のほとんどの時間を共に過ごす。話し合い、酒を飲み、肩を寄せ合い。
少しずつ好きになっている。
恐ろしく忙しない。いっぺんにこんなにもたくさんの事案を気遣うことは生まれて初めてで、それはアドレナリンが放出されるような感覚、逆境好きのわたしにはちょっとした恍惚なのである。やっていけると思う。