ミッシェル=ゴンドリー監督『ヒューマン・ネイチュア』を観る。

わたしはゴンドリーのPVのファンだから観たかったのだけれども、この映画のただものじゃないのは、スパイク=ジョーンズ×チャーリー=カウフマンというかの『マルコヴィッチの穴』コンビが製作に絡んでいるところ。
案の定、奇想天外な作品。
ホルモン異常で身体中に猿のような毛が生えてしまう奇病を抱えた女と、35歳にして童貞であり家庭環境のトラウマを抱えた心理学者、そして生粋の人間の子ながら森の中で育った人間の言葉も話せない野蛮男。
この3人が中心に物語が展開するのだが、とってもシュールなギャグの連続。様々な既存の物語を併せて巧妙に作られた、現代の寓話である。
人間は自然の中で野性のままであるのと、都会で暮らし分別をわきまえているのと、どちらが幸せであるのか?─公開当初は"おバカ映画"と評する人も多かったように思うが、とてもそんな軽々しくは扱えない、いろんな深みを持った問題作ではなかろうか。
いや、一般受けはあんまりしないと思うし、ちょっとアクが強すぎかしらとも思うけど。
リス=エヴァンスが最高、この猿人な役はこの人しかできないだろう。ティム=ロビンス&パトリシア=アークウェットはやっぱり顔が好かない。あからさまにセクシーなフランス人のカワイコちゃん、誰だったかなと思ったら、ロード・オブ・ザリングのお姫様じゃないですか。


ひさしぶりに予定のない休日。かねてからの懸案レシピである某カレーを半日かけて煮こもうかと思案するが、雑多な諸々を済ませているうちに、萎える。
煮こんだり練ったりするお料理は、心をとても清澄にしてくれるから好きなのだけれど、今の家に引っ越してからは、キッチンのあまりの狭さに、タイミングを誤るとかえってストレスになったりもする。
コンサバでちょいギャルな髪型を研究したり(考案失敗)、ネットサーフィンをしたり(収穫なし)、部屋を片づけかけたり(やりきれず)して過ごしていると、あっというまに夕方である。
実のない休日を過ごしてしまったと、少し落ちこむ。何もできずに今日もまた、かわいそうね終わってしまった、というACOの曲を思い出して聴いてしまい、もっと落ちこむ。

悦びに咲く花

悦びに咲く花

ほんとうに、生産性のない人間だ!なんてしょうもないんだ!ダメダメだ!
何かをやり遂げたかったので、前から頼まれていた結婚式用のMDを作成する。少し落ち着く。


自分は手帳の余白が気になるタイプの人間ではないと思っているけれども、やっぱり貴重な時間を無為に過ごしてしまったという空虚感はやりきれない。
やらなきゃいけないこと、やった方がいいこと、やりたいことが山積みなのに、日々に追われて気づけば何もできていないという焦燥感。


今ならあなたの気持ちがとてもよく分かる。
分かるけど、やっぱりそれは言い訳であるのだ。もっと包容力がなくては、ならないのだ。
それとも弱音を赦してあげることもできなかった、わたしが厳しすぎるのか?