源孝志監督『東京タワー』を観にいく。

東京タワー 通常版 [DVD]

東京タワー 通常版 [DVD]

最近とみに輝いている岡田くんを鑑賞したいがためである。
映像はあたたかい色や光のコントラストに彩られ、幻想的で美しい。しかし、江國香織ワールド全開のセリフやシチュエーションの数々、これでもか、これでもかと。正直しんどかった。
「音楽のような顔をした息子さんね」「それはラフマニノフの8番ね」「こわれたおもちゃはいらないの」「もう電車を乗り過ごしたくはないわ」
…笑ったよ、笑った。黒木瞳は美しいが、そのささやくような喋り方がほんとうにトゥーマッチ。わざとらしくさえ思えてしまう。
ここ最近の江國の少女趣味とも言うべきディテールは、小説だからなんとか許せるのだ。映像になると現実に限りなく接近してくるのに、そのギャップにぐったりだ。お腹いっぱいなのにまだ食えと口に押し込まれているような。
しかし小説としての江國ワールドは決して全否定されるべきものではなく、好き嫌いを抜きにして客観的に判断すれば、むしろ自己の世界を確立している巧い書き手であると思うので、もっといい見せ方ができたはずである。
解釈の誤り、演出過多なのではあるまいか。


岡田くんはまるで彫刻のよう、美しすぎました。どう考えてもサービスカットなシャワーシーンもあり。
もやし体型のマツジュンと対象的な、ほどよく鍛えあげられた裸にうっとり。はかなげな表情も見事、感嘆。
いやーなんときれいな二重なんでしょう。すばらしい。
歯の浮きまくるようなセリフをあれだけ並べても尚見惚れてしまえるのは、岡田くんであったからこそ。これが別の俳優であったならば、開始5分で席を立っていただろう。ビバ岡田くん!


寺島しのぶ、あいかわらず業の深いキレ気味な役をやらせると、右に出る同年代の女優なし。ってか、そんな役ばっかりじゃないですか。マツジュンは役がピタッとはまったせいか、意外に好演でした。