崔洋一監督『血と骨』。

なんだか映画ばかり観ているような気がする今週。
会社で券をもらったので、『血と骨』を観にいく。崔洋一は『月はどっちに出ている』が名作だと思います。『犬、走る』にも興味があるんだけれどもまだ観ていない。

血と骨 通常版 [DVD]

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昨日のオマー=シャリフに続き、これは役者・ビートたけしがいなくては成り立たなかった作品である。
傍若無人で極悪非道な在日コリアン1世の金俊平、これは彼でなくては演じられなかったであろう。言葉少ない、壮絶で鮮烈な怪物ぶり。その理不尽で鬼畜なふるまいには否定的にならざるをえず、目を覆いたくなる場面も多々あるが、どうしても惹きつけられてしまうのはなぜであろうか。それほどものすごい生命力、すさまじい激情なのである。こんな空恐ろしい人物が戦後ニッポンにほんとうに存在したのであろうか。
厳格な血縁主義が根底にある韓国人、血族が一丸となって日本社会を生き抜く様を、旬の俳優たちが演じる。誰もが他の作品にはない迫真の演技である。特に田畑智子、もっとダイコンな女優だと思っていた。そして鈴木京香、新境地。

映画は観て「分かって」もらわなくてもいいと思う。何かを「感じて」もらえればそれでいい。それが「血」で響くことなんですよ

キャストのひとりである寺島進はそう語っているが、まさにそのとおりなのである。決して分かりはしない、けれど何か強烈なものが心の内に残る、そんな映画である。