矢野顕子のライブを観にブルーノートへ。

ブルーノートには数訪れども、そういえば日本人のアーティストははじめてかもしれない。
まあ、日本人といっても、矢野顕子だもの。まったく、境目などどこにあるのか。


開演間近になって、忌野清志郎(ノーメイク)がすすっと登場。
後方の席なので気づいている人もあまりいないようだったけれど、牛柄(?)の耳あて付き帽子がたいへんに目立っていました。どう見てもカタギではない。エゴラッピンの森さんも地味に発見。
以前、鎌倉芸術劇場で矢野顕子を観たときには、谷川俊太郎市村正親を発見、一緒に行った友達が谷川さんを拝んでいた。


わたしのブルーノート史上でわたしが最も感動したライブ、ミッシェル=カミロのトリオとプレイヤーの顔ぶれがおんなじ。矢野さんもMCで言っていたけれど、ピアノを差し換えたらまったくおんなじ。なのにやっぱり、全然違うのね。


矢野顕子は大人の女性なのにどこかやんちゃで破天荒。そして相変わらず捉えどころのない声なのに、ふわふわと、いつのまにか傍まで近づいていて、きゅっと心を掴まれてしまう、じんとくる。
非凡な才能というのはこういうふうに滲みでるものなのだな。いつ聴いても、やっぱりわけもなく、すごいや。


「さっきこの曲をかいた人を見かけたので」と言って、アンコールで、RCサクセションの『多摩蘭坂』を弾き語りで歌ってくれる。
とうに行き過ぎた何かを思い出しそうで、でも思い出せずに、切ない。切なくて、横隔膜のあたりがぐぐっと詰まって、少しだけ苦しい。そんな曲。