酔っぱらうと、とにかく電話をかけたくなる。
そして実際に、呂律のまわらないハタ迷惑な電話をかけまくる。ストイックなまでに電話をしない日常の反動、かもしれない。

そんな調子で誘いをかけた高校の同級生に、半年ぶりに会った。彼はいつも疲れている。この夜は、また格別に疲れていた。

開発部のせいで商品が期日までに間に合わないかもしれない、数億円の損害だよ。そしたらオレ、クビだよ。

悲愴な話とは裏腹に、チョコパフェが目の前に置かれると、眠そうな目をしながらも、あっという間にたいらげた。

思えばわたしたちは、知り合ってもう10年になる。
その10年の間に、卒業もしたし就職もしたし転職もした。お互いを好きだったこともあった。けれど、何が変わった?10年間何してた?と聞かれると、特に答えることもない。成長したなと感慨にふけることもなければ、変わってないな、と苦笑することもない。 気づけば、時間はあたり前に行き過ぎていた。

ただこの人は、甘いものを好んで食べる人ではなかったなあと、パフェの残骸を眺めながら思った。

つらくても楽しくても、また10年はあたり前に行き過ぎる。それは無情なことでもあるし、救いでもあるなと思う。